順天堂大などのチームは21日、パーキンソン病患者の大腸に健康な人の便に含まれる腸内細菌叢を移植する臨床研究を始めたと発表した。運動機能の改善状況や、薬の効果が高まるかどうかを検証する。
人の腸管には千種類以上、40兆個以上の細菌が存在し、細菌の集まりである腸内細菌叢は食事や加齢、ストレスなどでバランスが乱れる。パーキンソン病は脳神経が変化し運動障害が起きる難病で、原因物質が腸管から脳に広がる可能性が指摘されている。
根本治療がなく、薬も病気が進行すると効きにくくなる。臨床研究は、薬の効果が持続しない進行期の患者のうち、40~75歳で認知障害がない人が対象。移植から8週間後に症状が改善するかどうかなどを調べる。
ベンチャー企業のメタジェンセラピューティクス(山形県鶴岡市)がドナーの便から細菌叢を抽出した溶液を作製。抗生物質で自身の腸内細菌をリセットした患者に、大腸内視鏡で投与する。
順天堂大の服部信孝主任教授は「移植で薬の効果を引き上げ、良い状態を長期間保つ効果を期待している」と話した。
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