札幌市に住む事実婚のカップル、佐藤万奈さん(37)と西清孝さん(32)は、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定について、「婚姻の自由などを保障した憲法に違反している」と主張して、国に賠償を求める訴えを起こしています。
この裁判が21日から札幌地方裁判所で始まり、原告側は「夫婦の一方が名字を捨てなければ婚姻できず、双方の名字を守るためには婚姻自体を諦めなければならない現状は、個人の尊厳を害している」と訴えました。
これに対し国は「夫婦の姓に関する法制度の在り方は、国会で論ぜられ判断されるべきだ」と反論し、訴えを退けるよう求めました。
夫婦別姓を認めない規程をめぐっては、ことし3月、東京などに住む10人も国に賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしていて、ことし6月から裁判が始まっています。
原告「多くの国民に関わる問題と思う」
原告の佐藤さんと西さんは2019年11月に結婚したものの、双方の名字を維持したいとして、よくとしに離婚し、今は事実婚のカップルとして暮らしています。
裁判のあと、2人は札幌市内で会見を開き、佐藤さんは「職場で旧姓の表記がなくなったことでアイデンティティーの喪失を感じたほか、嫌がらせを受けて体調が悪くなったため、しかたなく退職した。選択的夫婦別姓の制度があれば、体調も悪くならなかったし、職場も辞めずにすんだので、私の楽しかった時間を返してほしい」と話していました。
また、西さんは「選択的夫婦別姓は女性の問題と捉えがちだが、男性も当事者です。この裁判は多くの国民に関わる問題だと思います」と話していました。
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