明治神宮外苑の再開発をめぐっては、先月、事業者が、樹木の伐採本数を減らすことやイチョウ並木の保全に向けて新たな野球場との間隔を広げることなどを盛り込んだ計画の見直し案を都に提出しました。

これを受けて21日、都の環境影響評価審議会が開かれ、事業者が見直し案の内容について参加した専門家に説明しました。

それによりますと、樹木の活力はおおむね良好で、建物の配置や規模の見直しで確保した土地に、今月中にも樹木の移植を始めて伐採本数を減らすなどとしています。

都は会合の中で「見直し案では樹木の伐採本数などに改善が見込まれるため、今回の変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるとは認められない」として事業者に対し、いったん完了した環境影響評価の手続きを再び行うことは求めませんでした。

審議会に参加した専門家からは「土壌の水分など工事による影響について詳細な調査を頻繁に行ってもらいたい」とか「日当たりに応じて植樹する樹木を選んでもらいたい」といった意見が出されました。

都が環境影響評価の手続きを再び行うことを求めなかったことで、今後、樹木の伐採が始まることになります。

これまでの明治神宮外苑の再開発について

明治神宮外苑の再開発をめぐっては、去年1月、東京都の審議会で環境影響評価の手続きが終了し、都はその翌月、事業を認可しました。

工事が進む中、ユネスコの諮問機関・イコモスは去年9月、「神宮外苑は世界の公園の歴史においても例のない文化的資産」だとしてヘリテージ・アラートと呼ばれる再開発の中止を要求する警告文を事業者や都などに送りました。

アラートが出された5日後、都は事業者に対し、樹木の保全方法の具体的な見直し案を示すよう求めたため、これまで高さ3メートル以上の樹木の伐採は行われませんでした。

そして事業者は先月、樹木の伐採本数を減らすほか、新たに建設するラグビー場の高さを下げて、樹木の生育環境を改善するなどの計画の見直し案を公表し、都に提出しました。

これを受けて都はいったん完了した環境影響評価の手続きを再び行うかどうか条例に基づいて検討することとなりました。

都が計画の変更が「環境に著しい影響を及ぼすおそれがある」と判断すれば審議会に諮問し、必要に応じて再び環境影響評価の手続きが始まります。

一方、「環境に著しい影響を及ぼすおそれがある」と判断しなければ、再び環境影響評価の手続きが行われることはありません。

イコモスの国内委員会が再び環境影響評価の手続きを行うよう求める中、21日の審議会で都の判断が示されることとなりました。

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