詳しく知りたい〈4〉

 原発の敷地外で使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」の現状はどうなっているのでしょうか? 青森県むつ市で、国内初となる中間貯蔵施設の準備が進んでいます。使用済み核燃料の保管期間は、地元との協定で50年間とされています。一問一答形式で詳しく紹介します。

【連載】核燃料のゆくえ

原発で使い終わった核燃料をどうするのか。中国電力と関西電力による中間貯蔵施設計画の動きや、使用済み核燃料の現状を連載で報告します。

 Q 中国電力が山口県上関町で検討中の原発の使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の前例は?

 A 原発を抱える東京電力と日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が、青森県むつ市で2024年8~9月の事業開始に向けて準備している。これが国内初の中間貯蔵施設になりそうだ。日本原電東海第二原発(茨城県東海村)の敷地内には、使用済み核燃料を一時保管する貯蔵施設があるが、原発から離れた所にある中間貯蔵施設は国内にはなかったんだ。

 Q どんな施設なの?

 A 幅62メートル、奥行き131メートル、高さ28メートルの建屋で、太平洋のすぐ近くの敷地に立つ。「リサイクル燃料備蓄センター」という名称で、東電柏崎刈羽原発(新潟県)などで出た使用済み核燃料を、ウラン重量で最大5千トン受け入れる予定だ。この建屋では3千トンを収容でき、使用済み核燃料を入れたキャスク(金属製容器)を288基置くことができる。建設予定のもう1棟とあわせて、500基前後の受け入れを見込む。

 Q どう運用するつもりなの。

 A RFSによると、職員が24時間体制で監視する。各キャスクの二重になっているふたの間の圧力を計測して、仮に何かが漏れるようなことがあれば、どのキャスクから漏れているのか特定できるようにする。建屋内の放射線量を測り、建屋の周囲約5キロ範囲の空間放射線量も青森県と共同で計測する予定だ。

 Q 運用開始までの経緯は?

 A RFSによると、2007年3月に国に事業許可申請を出してから、施設の安全性などについて様々な審査を経てきた。安全対策工事は23年度末までに終えた。24年8月には、青森県やむつ市と危機管理などについての安全協定を結んだ。今後、キャスクに入れた使用済み核燃料を運び込み、改めて検査をして一時保管を始める予定だ。

 Q 一時保管の期間は?

 A RFSによると、青森県とむつ市との協定で保管期間は50年間としている。備蓄センターに置かれる予定のキャスクは、耐用年数が60年なんだ。東電によると、ここで保管した後は、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場などに運ぶ想定だ。

 Q 使用済み核燃料を入れたキャスクを国内で長期間、保管した例は?

 A 原子力規制庁によると、経年変化に耐えられると審査で判断されたキャスクだけが使用を許されている。日本で商業用原発の運転が始まったのは1966年。60年間保管されたキャスクは存在しないという。

 Q 上関町で検討されている中間貯蔵施設で、使用済み核燃料を長期間保管することはないの?

 A 中国電力は「いずれは搬出するが、使用済み核燃料の保管期間や設置規模、施設の運用などについて現時点で決まったものはない」と、朝日新聞の24年4月の取材に答えている。

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