岩屋毅外相は25日未明、中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談するため、北京に向けて日本を出発する。両国の経済・人的交流を活発にする方策を話し合い、2国間関係の改善を進める。中国軍による日本周辺での軍事活動には懸念を伝える見通しだ。

日本の外相が中国を訪れるのは2023年4月の林芳正氏以来になる。25日午前に王氏と会談する。日中ハイレベル人的・文化交流対話への出席や李強(リー・チャン)首相への表敬も予定する。

岩屋氏は出発に先立ち、24日の記者会見で「中国との関係は日本にとって最も重要な2国間関係の一つだ」と述べた。「両国間には様々な可能性とともに数多くの課題や懸案もあるが、地域と国際社会の平和と繁栄に共に重要な責任を有している」と強調した。

日中両政府は23年11月の首脳会談で共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を確認し、24年11月にペルーで開いた石破茂首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席の会談で、ハイレベル往来の強化を申し合わせた。これらの方針に基づき両国関係を改善の軌道に乗せる策を協議する。

今回の訪中で岩屋氏から、日本に訪れる中国人の査証(ビザ)申請手続きの緩和を表明する。新型コロナウイルス禍前から重視していた往来の拡大を再び促す。中国側も11月に日本人への短期滞在ビザの免除を再開したばかりだ。

経済や人的交流の分野は好転する一方で、中国軍による日本領海への侵入や領空侵犯など、日本周辺での軍事行動が目立つ。岩屋氏は王氏に再発防止を要請する。東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に関し、日本産水産物の早期の輸入再開も求める。

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