金融市場では、アメリカ大統領選挙の前からトランプ氏が優勢とみた一部の投資家の間で特定の資産に投資をしたり、売却したりする「トランプトレード」が行われていましたが、当選が確実になったと報じられて以降、一段と活発になりました。
このうちニューヨーク株式市場では、トランプ氏が掲げる減税策や規制緩和への期待感から金融やITといった銘柄が大幅に値上がりし、ダウ平均株価は6日からの3日間で1700ドル以上、上昇しました。
一方、関税の引き上げによるインフレが再燃するリスクを踏まえて、FRB=連邦準備制度理事会の利下げのペースが緩やかになるという観測や、大規模な財政出動によって財政が悪化する懸念が広がりました。
このため、アメリカの長期金利の代表的な指標である10年ものの国債の利回りは、一時およそ4か月ぶりの水準となる4.4%台後半まで上昇したことで、外国為替市場ではドルが買われ、一時1ドル=154円台後半まで円安ドル高が進みました。
そのあと、長期金利が一転して低下したのに伴ってドルを売る動きが出て、8日には1ドル=152円台前半まで円高が進みました。
専門家の間では「トランプトレード」が当面、続くという見方がある一方で、期待が先行しすぎているという指摘もあり、今後の投資家の動向が注目されます。
「トランプトレード」金融市場全体に波及
「トランプトレード」を受けてニューヨーク株式市場では、ゴールドマン・サックスや、JPモルガン・チェースといった金融関連の株価が大幅に上昇しました。
規制緩和によって金融業界では、買収などが進めやすくなるという思惑が先行している形です。
また、トランプ氏の選挙活動を支援してきたイーロン・マスク氏が率いる電気自動車メーカーのテスラの株価も上昇を続け、8日には時価総額が1兆ドル、日本円で152兆円を突破しました。
こちらも、規制緩和によって自動運転などの開発が進めやすくなるという期待感が株価の上昇を支えている格好です。
一方で、トランプ氏のもとで気候変動対策が後退するという見方から、太陽光発電の会社などの株価は大きく値を下げています。
影響は金融市場全体に波及しています。
トランプ氏の優勢が伝えられ始めてから外国為替市場では、アメリカの長期金利の上昇を受けてドルが買われる一方、円やユーロが売られる展開となりました。
中でも、メキシコの通貨ペソは5日から6日にかけてドルに対して大きく下落して1ドル=20ペソ台後半をつけ、おととし8月以来の安値水準となりました。
トランプ政権で関税の引き上げなどが実行された場合にメキシコ経済への打撃が見込まれることに加え、国境管理の強化によって悪影響が出るという見方が広がったためです。
また、トランプ氏が暗号資産についての規制を緩和する方針を示していたことからビットコインが上昇を続け、8日には一時7万7000ドル台をつけ、最高値を更新しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。