経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は12日、発電最大手のJERAが卸電力市場で相場操縦にあたる行為をしていたとして、電気事業法に基づく業務改善勧告を同社に対して行った。発電所に余力があったにもかかわらず、電気を市場に供出せず、市場に著しく重大な影響を生じさせたと認定した。
社内システムの総点検と法令順守の体制整備を講じた上で、再発防止策について12月12日までに報告するよう求めた。JERAは同日、「内容を真摯に受け止め、再発防止に努める」とコメントした。
大手電力とJERAは国のルールで余剰電力を卸市場へ出すよう決められている。JERAは遅くとも2019年4月から23年10月に改善するまで相場操縦にあたる行為を続けていた。データが残る20年10月以降で約54億キロワット時の電気が市場に供出されず、約定価格に1キロワット時あたり50円以上の影響を与えた日もあったとされた。
JERAは送電線の点検などで発電所の出力を下げて運転する時間帯に未入札を繰り返していた。入札ツールの不具合が原因だった。ただ、19年時点で問題を把握していた職員がいたにもかかわらず、改修を怠っていた。
JERAは「利益を享受する目的で相場操縦を行う意図はなかった」としたが、問題を把握した後も即座に対策を打っておらず「相場操縦の意図を一定程度は評価せざるを得ない」(監視委)と判断された。
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