配当の下限を年36円に引き上げた(出光のタンクローリー)

出光興産は12日、2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画の株主還元方針を見直すと発表した。年間配当の下限を1株36円と4円引き上げる。製油所の停止などで国内の石油製品の需給バランスが引き締まり、燃料販売の利幅が好調に推移する。企業価値向上や株価を意識した経営に向けて還元を強化する。

25年3月期の年間配当も36円に見直した。24年1月の株式分割後ベースで前期比4円増となる。

同日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比40%減の994億円だった。円安で燃料の販売価格が上がり増収となったが、原油価格下落により備蓄する石油の在庫評価損益として6億円の差損(前年同期は167億円の差益)を計上した。海外に権益を持つ石炭の価格下落や装置トラブルによる基礎化学品の販売量減少も響いた。

今後の原油価格や為替の動向が不透明だとし、25年3月期の業績予想は据え置いた。純利益は前期比45%減の1250億円を見込む。

米大統領選で勝利したトランプ前大統領はシェールオイルなどの採掘量を増やし、エネルギー価格を抑える意向を示している。出光の木藤俊一社長は同日の記者会見で「現在でもシェールオイルの生産は活発で、さらなる大幅増産は考えにくい」と述べた。

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