北九州を地盤に全国34都道府県でタクシー事業を展開する第一交通産業が運転手の採用を増やしている。グループ全体で例年1000人程度だったが、2025年3月期は2400人の採用を見込む。訪日外国人(インバウンド)の増加や人流回復を受けて、田中亮一郎社長は「タクシーは稼げるという認識が広がってきた。採用拡大を続ける」と話す。
7日の決算発表で明らかにした。同社は24年2月から大都市圏で成功報酬型求人サイトの活用などを始め、9月までの8カ月間に1500人を採用した。地域別の採用数では首都圏で300人、関西圏で300人、その他の地方で900人だった。
第一交通はグループ全体でタクシー8000台を持ち、1万2000人の運転手がいる。高齢などを理由に毎年700人以上が退社するという。
歩合給が主流のタクシー業界で、同社が8年前に導入した最長2年の固定給制度の効果が大きい。採用者のほとんどが固定給を選択しており、未経験者の心理的なハードルを下げている。北九州市内では月18万円に通勤手当などが加算される。勤務に慣れるのに従って売上高が増え、半年程度で歩合給に移行するケースが多いという。
採用実績のうち、女性は月20〜30人に上る。現役の女性運転手を集めた「女子会」を各地で開いて要望を聞き、働きやすい環境づくりに努めている。営業所に女性専用のトイレや更衣室の設置が進む。
7日に発表した24年4〜9月期の連結純利益は前年同期比33%減の5億3400万円、売上高は4%増の457億円だった。主力のタクシー事業は採用増に伴う教育費や人件費の増加に加え、燃料費高騰などで営業損益が10億円の赤字だった。当初は通期でタクシー事業の営業黒字転換を目指していたが、「厳しくなってきた」(田中社長)という。
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