建築工事の損益率で各社の純利益の差がついた

大手ゼネコン4社の2024年3月期の連結決算が14日出そろった。同日発表した鹿島が唯一前の期より増益となった。国内外の建設工事が順調に進んだほか、不動産の開発物件の売却が好調だった。資材の高騰や人件費の上昇などによる工事損失を補いきれなかった大林組、大成建設、清水建設の3社は減益となった。

鹿島の純利益は3%増の1150億円だった。売上高は2兆6651億円と11%増え、営業利益は1362億円と10%伸びた。単体の建築完成工事の利益率は9.2%と0.7ポイント改善した。資材高などによる工事損失は建設工事が順調に進んだことで吸収した。

減益だった3社は単体の建築完成工事の利益率が悪化した。大林組は6.3%と2ポイント低下した。23年に東京・八重洲で死傷事故が起きた再開発工事など複数の案件で工事損失引当金を計上した。大成建設と清水建設は建築完成工事の損益は赤字だった。

25年3月期は鹿島を除く3社で増益を見込む。受注時に採算を確保する取り組みが寄与する。鹿島は工事序盤で収益につながる出来高が計上されにくい案件を抱えるほか、研究開発費が膨らむことなどが響く。

24年4月から建設業界で残業時間の上限規制が導入された。「建設需要は非常に好調な状況が続いている」(鹿島)なか、各社とも自社の施工余力を踏まえた工期確保に取り組んでいる。大林組を除く3社で今期の単体国内受注高は前期より減る。

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