先月26日、広島市西区の福島町で、雨水を地下にためる「雨水管」と呼ばれる設備を作るため地下の掘削工事をしていたところ道路が陥没し、周辺の建物12棟に被害が出て、今でも少なくとも20世帯34人が避難生活を余儀なくされています。

掘削工事は地下およそ30メートルで大型の掘削機械の「シールドマシン」を使って行われていましたが、当時、トンネル内部に設置されていたカメラの映像にシールドマシンの下の部分からトンネル内部にむかって泥水が湧き出るように流れ込む様子が写っていたことが関係者への取材で分かりました。

通常、シールドマシンの先端とトンネル内部は「隔壁」と呼ばれる壁で遮られていて、掘削した土砂や水はシールドマシンに取り付けられた「スクリューコンベヤ」で運び出されます。

運び出された土砂や水は今回の工事では配管を通じてトンネルの外まで搬出されるため、本来はトンネル内部には出ないようになっていたということです。

シールド工法に詳しい早稲田大学の小泉淳名誉教授は「隔壁かスクリューコンベヤの付け根付近に不具合が起きたと推察される。不具合によって圧力が下がり、シールドマシン前面の土が緩んで地表近くまで達して陥没が広がった可能性がある」と指摘しています。

工事を受注していた共同企業体の1つの「清水建設」はNHKの取材に対し「現段階では今回の事故の原因については分かっておらず、引き続き原因究明に向けて市と協議をしながら実施していく」としています。

事故をめぐっては工事を発注した広島市が有識者による委員会を設置し、事故原因の究明を行うことにしていて、こうした不具合の可能性と陥没との関係についても調べるものとみられます。

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