国際社会に核廃絶を訴え続けてきた活動が評価され、ノーベル平和賞受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は、被爆者援護拡大に力を注いできた。しかし被爆2世や「被爆体験者」は今も被爆者援護法の対象から外れたまま。「埋もれた被爆者が救われていない」。当事者たちは受賞決定を喜びつつ、国を相手に訴訟を闘っている。
受賞決定前の11日昼ごろ、被団協の田中熙巳代表委員(92)は東京・永田町で厚生労働省幹部に被爆者援護の拡充を求める要望書を手渡していた。要望には2世への支援を被爆者並みに拡大することも含まれている。しかし厚労省側は「被爆者援護法が対象とする被爆者とは異なる」と慎重な対応に終始。その日の夕方、被団協にノーベル平和賞授与が発表された。
国の援護区域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められなかった「被爆体験者」訴訟の原告団長岩永千代子さん(88)は、被団協の受賞決定を「平和に向けた一つのきっかけはつくった」と冷静に受け止めた。
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