13年前の東京電力福島第一原発の事故後の除染で出た大量の土は、現在、周辺に整備した中間貯蔵施設で保管されていて、2045年までに福島県外で最終処分をすることが法律で定められているほか、環境省は、放射性物質の濃度が基準を下回ったものを、公共工事などで再生利用する方針です。

IAEAは去年5月から除染の専門家による中間貯蔵施設や、農地の再生利用に向けた事業の視察のほか、国への聞き取りなどを行い、10日にアナ・クラーク廃棄物・環境安全課長が、伊藤環境大臣に最終報告書を手渡しました。

報告書では、中間貯蔵施設について「除去土壌は処理後、貯蔵施設に適切に保管されている」としたほか、福島県内の農地で行われている除去土壌の再生利用の事業については、「安全に実施されている」と評価するなど、これまで環境省によって行われてきた取り組みは、IAEAの安全基準に合致しているとしています。

一方、最終処分については、「将来に向け、2045年までに福島県外での最終処分を実現するために、取り組むべき課題が数多く存在する」とし、環境省が総合的な戦略やスケジュールを明確にすべきだなどと指摘しました。

そして、「再生利用や最終処分の選択肢を検討する際には、関係者の早期の関与が重要であり、地域社会との対話を繰り返し維持、強化していくことが期待される」としています。

報告書を受け取った伊藤環境大臣は「環境省の取り組みがIAEAの安全基準に合致していると評価されたことは大変心強く、政府の取り組みの大きな支えになると信じる。今後、よりよい形で除去土壌の再生利用や最終処分が進められるよう、報告書の内容を踏まえて取り組みを進めていく」と話しました。

除染で出た土の県外での再生利用に向けては、国は、東京の新宿御苑や、埼玉県所沢市で実証実験を実施する方針を示していますが、地元の住民などの反対を受け、開始のめどが立っていません。

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