自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入)の罪に問われた二階派(志帥会)の元会計責任者、永井等被告(70)の判決公判が10日、東京地裁であった。向井香津子裁判長は禁錮2年、執行猶予5年(求刑禁錮2年)の判決を言い渡した。
一連の事件で正式裁判の判決が出るのは初めて。永井被告は起訴内容を認めていた。
検察側は7月の論告で、二階派では毎年開催していた政治資金パーティーに関し、各議員にパーティー券の販売ノルマを割り当て、超過分を議員側に還流していたと指摘。遅くとも永井被告が会計責任者に就いた1999年7月以降は還流分を政治資金収支報告書に計上しない運用が定着していたとした。
虚偽記入の額は少なくとも2018〜22年分の5年間で収入が計約2億6000万円、支出は計約1億2000万円に達すると主張。この間の収入の約16%、支出の約8%に相当するとして「期間も金額も偽った程度は大きい」と訴えていた。
公判で検察側はパーティー券の販売ノルマの割り当ては永井被告が当選回数などに応じて決めていたとも指摘。永井被告は被告人質問でパーティー収入などを記載しなかった理由について「何が起こるか分からない世界でお金を残す必要があった」と説明した。
起訴状によると、永井被告は18〜22年の政治資金収支報告書で、パーティー収入や支出など計約3億8000万円を計上しなかったとされる。
二階派では会長を務めた二階俊博元幹事長の資金管理団体も還流分を収支報告書に載せていなかったとして会計担当の秘書が略式起訴され、罰金100万円、公民権停止3年とした略式命令が確定している。
一連の事件では永井被告らを含め二階派、安倍派(清和政策研究会)、岸田派(宏池会)の当時の会計責任者や国会議員など計10人が同罪で起訴・略式起訴されている。安倍派の会計責任者、松本淳一郎被告(76)の判決公判は30日に予定されている。
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