宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、日本初の月面着陸に成功した小型無人探査機「SLIM(スリム)」の運用を終了したと発表した。5月末以降、着陸地点の日照期間中に地上からの通信を試みたが応答がなく、運用チームは機能が失われたと判断した。
SLIMは1月20日未明、月の「神酒(みき)の海」にあるSHIOLI(しおり)クレーター付近に着陸した。直前にメインエンジン1基が破損した影響により想定外の姿勢で着地したため、太陽電池で発電できず約2時間半後に運用を休止。日照条件が変わった同28日に運用を再開し、予定していた科学観測を実施した。
最大の目標だった誤差100メートル程度の「ピンポイント着陸」を達成したほか、搭載していた小型ロボット2台との連携で、着陸後の機体撮影と地球への画像送信にも成功。科学観測用の分光カメラで月面の石を撮影し、月の起源を知る手掛かりとなる鉱物「かんらん石」が含まれていることなどを確認した。
着陸地点が月の「夜」を迎えたため1月31日に運用を休止した。設計上、マイナス170度の低温になる月の夜を越しての運用は想定されていなかったが、着陸地点に再び日照が回復した2月末に再起動。カメラによる撮影、画像の送信も行うなど「越夜」に成功した。
日本初の月面着陸に成功し、運用を終了した探査機「SLIM」=1月20日(JAXA/タカラトミー/ソニーグループ/同志社大提供)
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