兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は23日、県職員アンケートの中間報告を公表した。パワハラは4割弱、贈答品受領は2割強が見聞きしたと回答。自由記述は伝聞情報が多いものの、具体例が列挙された。斎藤氏が30日の証人尋問でどう答えるか注目される。
アンケートは県職員約9700人の7割にあたる約6700人が回答。中間報告は5日朝までに回答があった約4500人分を集計しており、最終報告は9月中をめどに公表する。
パワハラについては59人が「目撃(経験)等により実際に知っている」と答えた。自由記述欄には「知事レクの開始早々に『聞いてない』と発言、ペンを机上に放り投げ、場の空気が凍り付いた」など具体的な記述が並んだ。
エレベーター前で待たせると、斎藤氏の機嫌を損ねるとの指摘が多い。目の前でエレベーターの扉が閉まって乗り損ねたことに激怒し、職員に「『おまえはエレベーターのボタンも押せないのか』と大声で怒鳴りつけた」との記載もあった。
公用車で移動中、斎藤氏が予定していた時間よりも遅れそうだと知って叱責し、助手席のシートを後部座席から蹴ったとの伝聞情報もあった。斎藤氏を「暴君」と記した職員もいた。
贈答品に関しては、県職員が土産に用意されたカニを「いただけない」と断ったにもかかわらず、斎藤氏は断った分まで持って帰ったという伝聞情報があった。「土産があると知事の機嫌がよくなるので、自腹で会計して知事には土産という体を取っていると複数から聞いた」という職員もいた。
但馬地域への出張で、斎藤氏が県の旅費規定を超える宿泊料の高級旅館に宿泊したことを記載した職員は「秘書課が勝手に手配したとしても、そうした状況をつくりあげたのは知事のこれまでの言動であり、責任は大きい」と指弾した。
告発文書には、2023年11月のプロ野球の阪神・オリックスの優勝パレードについて、片山安孝前副知事が司令塔となり、信用金庫への補助金を増額し、募金としてキックバックさせて寄付を補ったとの指摘があった。これについては「ほとんど集まっていなかった寄付金が突然、目標に達して不思議だった」などの記述があった。
一方、「人格否定はなかったと聞いており、パワハラには当たらない」「緊張していた出席者に配慮の声がけがあった」、「生産者からいただいた産品をPRすることは他自治体でもあり、贈答品受領をことさら問題があるように言うのは違うと思う」との回答もあった。
斎藤氏はこれまでの記者会見で「県民にサービスを提供していく以上、厳しく指導することもある。業務上、必要な範囲だった」とパワハラを否定。贈答品については「県として受領することはあったが、PRや産業振興施策の参考とするためだ」としている。
百条委は今後の証人尋問で、アンケートの記載内容について調査する。30日は主にパワハラ疑惑について、斎藤氏を問いただす予定だ。
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