石川県能登町の小木港で8月2日朝、今季初のスルメイカの水揚げがあった。県漁協所属の中型イカ釣り漁船3隻が漁から戻ったが、県漁協小木支所によると、水揚げ量は計26トン。1隻当たりの平均は記録的不漁だった昨年度の初日を若干下回っており、歴史的な不漁を受けて船長たちは「過去最悪」と危機感を募らせている。

今季初水揚げとなり、漁船から下ろされるスルメイカ=いずれも2日、石川県能登町の小木港で

◆「日本海のどこを回ってもイカがいない」

 支所によると今年は9隻が漁に出ており、この日は第18白嶺丸、第23輪島丸、第68栄成丸が水揚げを行った。6月からの漁で釣り上げ、船内で冷凍したイカを詰めた段ボール箱や、数十匹をブロック状に固めたものを搬出した。  白嶺丸の川端正之船長(51)は「去年よりも悪い。日本海のどこを回ってもイカがいない。ロシアの排他的経済水域(EEZ)にも行ってみるが、回復してもらわないと困る」と話した。  輪島丸の佐藤幸二船長(46)も「マグロが寄ってきてイカが逃げるし、漁具にも被害が出ている。(輪島丸の)水揚げは昨年の3分の2くらいで10トン未満。例年なら20トン以上はあったのに」と落胆。一方で燃料の重油は値上がりしており、「今回の水揚げでは燃料代にもならない。このままでは中型イカ釣り漁船はなくなってしまう」と危ぶんだ。  小木港は冷凍スルメイカで日本有数の水揚げ量を誇ってきたが、気候変動などを背景に近年不漁が続く。昨年度は記録の残る1972年以降で最低の832トンだった。(谷口大河)    ◇   ◇    

◆気候変動による水温上昇・海流変化で減少

スルメイカを水揚げする漁業関係者

 石川県水産総合センター(能登町)は、県の調査船「白山丸」が6月に実施した日本海中央部のスルメイカ分布量の調査結果を発表した。過去最低だった昨年同時期の4分の1ほどとなり、ワーストを更新した。  センターによると、スルメイカの分布や漁獲は2000年以降、気候変動による水温上昇や海流の変化などを背景に減っている。  調査は6月12~18日に能登半島沖から日本海中央部の定点で実施。イカ釣り機1台1時間あたりの平均漁獲数は0.11匹で昨年の0.43匹を大きく下回った。  また小型イカ釣り船の水揚げ量(5月1日~7月20日)は157トンで、記録的な不漁だった昨年同時期の196トンを下回った。1隻当たりの水揚げ量は低調ながら昨年を上回る232キロだったが、入港した船の数は670隻とほぼ半減。センターによると、元日の地震で能登地方の漁港が被災し、県外の小型船が入れる港が金沢港だけになったこと、漁獲量の減少で出漁を控える船が増えたことが要因とみられる。(谷口大河) 

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