国税庁は6日、市街地農地などにかかわる相続税や贈与税を算出する際に用いる「宅地造成費」の数値の一部に誤りがあったと発表した。誤った数値を使って納税額を計算すると過大に算出されるため該当する納税者へ周知を進める。

宅地造成費は都市計画上の市街化区域内にある市街地農地などの相続税や贈与税の評価額を算出する際に用いる。いったん宅地とした場合の価格を算出した上で、その地域の宅地造成費を差し引くことで周囲の宅地との評価額を調整している。

国税庁は毎年7月1日に都道府県別の宅地造成費をホームページ上で公表している。今回誤りが見つかったのは関東信越と大阪の各国税局が2024年7月1日に発表した分と、高松国税局が19年7月1日に発表した分。3局管内の一部地域で誤りがあった。誤差は1平方メートル当たり100円〜数千円程度だった。

誤った数値を使って税額を計算した場合、本来の金額より過大になるという。同庁は該当者には当局側から連絡を取り、減額更正などの手続きを含めて対応するとしている。

同庁は税額が過大となった納税者数は確認中で、現時点では把握できていないとしている。農地に関わる相続・贈与税の申告は関東信越・大阪の各局管内では23年7月の1カ月間で百数十件程度あった。

誤りは8月1日に外部から大阪国税局に指摘があり発覚した。国税庁が全国の18年分の数値までさかのぼって調べたところ、今回の誤りが見つかったという。宅地造成費についての誤りが明らかになるのは初めて。

国税庁は「誤りが発生したことについて深くおわび申し上げる。今後同様の誤りが生じないよう、厳格な確認作業を行うなど、適切な事務処理に努める」としている。

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