初めて和解が成立したのは東京 日野市に住む西スミ子さん(77)の裁判で、西さんと弁護団は自宅からオンラインで報告会を開きました。

西さんは脳性まひがあり14歳のころに説明がないまま不妊手術を強制されたとして国を訴えていました。

西さんの弁護士によりますと、31日東京地方裁判所で行われた協議で、国が慰謝料や弁護士費用など合わせて1600万円余りを支払うことで和解が成立したということです。

旧優生保護法をめぐっては、最高裁判所大法廷が7月3日、別の被害者の裁判で憲法違反だったとして国に賠償を命じる判決を言い渡し、これを受けて国は全国で続いている裁判について、速やかな和解の実現を目指す方針を示していました。

弁護団と国は、和解などについて基本合意を結ぶための交渉を続けていますが、西さんは7月にあった岸田総理大臣との面談に欠席するなど体調に不安があったため、いち早く解決させる必要があると判断したということです。

西さんは「きょうはとてもうれしいです。みなさまのおかげです。勝ってよかったです。一生懸命生きていこうと思います」と話していました。

旧優生保護法をめぐっては全国でこれまでに39人が訴えを起こし、およそ20人の裁判が続いていて、原告側は早期の全面解決を求めています。

林官房長官「和解による解決を目指し 取り組みを進めている」

林官房長官は午前の記者会見で「原告団などとの面会の場で岸田総理大臣から、現在継続している最高裁判決以外の訴訟については除斥期間による権利消滅の主張は撤回し、和解による解決を速やかに目指すことを申し上げている」と述べました。

そのうえで「こども家庭庁や法務省では各地で継続している訴訟について和解による解決を目指し、原告団の方々とただちに協議に入り早急な解決に向けた取り組みを進めている」と述べました。

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