大津市で男性保護司が殺害された事件を受け、法務省は26日、全国の保護司に不安の有無などを聞き取った調査結果を公表した。回答した保護司の1割弱にあたる1480人が「不安がある」と答えた。同省は複数の保護司で1人の対象者を支援する「複数指名」を積極的に運用するなどして安全確保を図る。

聞き取り調査は現在案件を受け持っている保護司を対象に実施し、1万6184人から回答を得た。不安の内容は「自宅で面接すること」(480人)が最も多かった。「家族や周囲の人から不安や反対を示される」(444人)、「粗暴性がある対象者を担当すること」(278人)と続いた。

事件を受け、退任の意向を示した保護司は10人。新任保護司として委嘱手続き中だった16人が辞退した。

法務省は調査結果を受け、全国の保護観察所に対策を指示した。新たに案件を依頼する際に「複数指名」を希望するか必ず意向を確認するほか、対象者との面談にあたって公民館など公的施設を利用できるよう自治体に配慮を求める。保護観察官による直接処遇も強化する。

法務省によると、保護司は2023年1月時点で全国に約4万7千人いる。60歳以上が約8割を占め、平均年齢は65.6歳と高齢化が進む。同省は23年5月に設置した有識者検討会で対策を議論してきた。事件の対応も踏まえ、10月をめどに新たな方針を示したいとしている。

事件は5月に発生した。レストラン経営の男性が自宅で死亡しているのが見つかり、男性が保護司として担当していた男が殺人などの疑いで逮捕された。

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