北海道と北東北3県の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産に登録されて27日で丸3年となる。縄文遺跡群世界遺産協議会長で三内丸山遺跡センター所長の岡田康博さんに、これまでの成果や今後の課題を聞いた。

 ――世界遺産に登録されて3年経ちます。

 三内丸山遺跡センターの見学者がすごく増え、世界遺産効果というのは大きいと実感しています。ただ、いつまでも続くわけではないので、世界遺産効果に代わる新たな魅力など、情報発信が必要です。

 ――情報発信とは。

 世界遺産であることを知ってもらうと同時に、なぜ縄文が世界遺産になったのかも考えて欲しい。

 ――3年で三内丸山は何か変わりましたか。

 見学者の年齢層が幅広くなりました。子供たち、若い人が増えている。インバウンドも非常に増えている。世界遺産は世界から注目されている。

 ――見えてきた課題はありますか。

 新しい世界遺産が出てくると、前のものは埋没していく。時間とともに風化してしまう。遺跡だけでなく地域の魅力もあわせてアピールしていかないと、観光客に来てもらえなくなるでしょう。見学者数では、17の構成資産の中で、勝ち組とそうでないグループに二極化されてきた。大勢が行っているところは情報がたくさんあって施設が充実していて、ソフト面やサービスもしっかりしている。そうでないところへは、だんだんと人も行かなくなる。ホスピタリティーのあるもてなしをしっかりやって、積み重ねていくことは大事です。しっかり頑張らないと、構成資産から外されるところも出てくるでしょう。

 ――遺物や施設はそうそう簡単にアップデートできませんよね。

 見学者が一番、興味や関心を持つのは「新しい情報」です。発掘は基本中の基本なので、計画的にやっていくことが必要です。発掘が終わった所では、既存の遺物であっても、視点を変えた企画展などは有効だと思う。

 ――これから目指すところは何ですか。

 地域の人たちに気軽に足を運んでもらえるようなサービスの提供は、すごく大事。インバウンドが好調なので、対外的、世界的にアピールしていく必要はあります。

 発掘調査も調査研究も、新しい情報を次々と発信できるような環境づくりが必要。施設を変えることは難しくても、中身を変えることはできる。何かやらないと人は来てくれない。人が来ない遺跡は、わびしい。来てもらってナンボです。(聞き手・鵜沼照都)

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 世界遺産3周年を記念し、県内の構成資産では様々なイベントが予定されている。

 27日には三内丸山遺跡センター・体験工房で、記念フォーラムがある。岡田康博・三内丸山遺跡センター所長の講演「遺跡の保存と活用を考える―愛される遺跡を目指して―」と、岡田氏をコーディネーターに、北海道縄文世界遺産推進室の阿部千春特別研究員や平野恭子共同通信編集委員らによるパネルディスカッション「遺跡をもっと楽しむために必要なこと」がある。定員80人で事前申し込みが必要。問い合わせは同センター(017・782・9463)まで。

 体験型のワークショップなどがある「縄文まつり」は、小牧野遺跡(青森市)と大森勝山遺跡(弘前市)では28日、是川石器時代遺跡(八戸市)では8月18日に開かれる。大平山元遺跡(外ケ浜町)では8月4日に町の特産品などを販売する「むーもんマルシェ」がある。

 このほかにも、食品メーカーの湖池屋とコラボしたポテトチップス「湖池屋プライドポテト 日本の神業 縄文香る帆立だし」が登場。15日から全国で販売されているほか、27日には、青森県内の構成遺産ガイダンス施設での配布(数量限定)も予定されている。北海道産の昆布に青森県産のホタテ、岩手県産のシイタケ、秋田県産のしょっつるが使われた。

 スマホを使ったスタンプラリーも10月末までの予定で開催中だ。青森県内の縄文遺跡をめぐると、訪問数によって抽選で景品がもらえる。(鵜沼照都)

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