北海道・知床沖で2022年4月、観光船が沈没し乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明となった事故で、乗客家族の弁護団は20日、乗客14人の家族が準備を進める運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(60)への損害賠償請求訴訟について、7月3日に札幌地裁に提訴する方針だと明らかにした。

弁護団によると、現時点で原告は14人の家族ら計29人で、請求額は十数億円になる見込み。不明者の一部の家族は、法律上亡くなったものとする「認定死亡」の手続きをした上で原告となる。

一方、運航会社への検査などが不十分だったとして、国と国土交通省所管の日本小型船舶検査機構(JCI)を提訴することも検討していたが、「可能性も含めて一切未定」としている。

弁護団の山田廣代表は「家族は桂田社長から謝罪もなく立件もされない状況で、風化を懸念している。悲惨な状況を改めて社会に訴え、二度と起こさないための予防策の構築を求めることが目的だ」とコメントした。

事故は22年4月23日に発生。運輸安全委員会は昨年9月、「閉鎖が不完全だったハッチから浸水したことが原因」とする報告書を公表した。海上保安庁などが業務上過失致死の疑いで桂田社長らを捜査している。〔共同〕

「日経 社会ニュース」のX(旧ツイッター)アカウントをチェック

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。