【ニューヨーク=吉田圭織】米スターバックスの労働組合「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド」は23日、労働条件の改善を求めて実施しているストライキを拡大した。当初の3州から12州に広げた。労組は賃上げや店舗の人員増、勤務スケジュールの見直しなどを求めている。
ストは20日から5日間の予定。ロサンゼルスやシカゴ、シアトルの3都市の店舗で始まり、足元ではニューヨークやピッツバーグ、ボストンなどの都市がある12州の30店舗にまで広がった。労組は23日、フェイスブックの投稿で「次にどの店舗が参加するかの発表をお楽しみに」と述べた。最終的には数百店舗に拡大する可能性があると米CNNは指摘している。
ホリデーシーズンのかき入れ時にストを起こすことで、経営陣に圧力をかける狙いだ。労組は「会社側は年内の契約合意を目指すという公約を発表したが、まだ本格的な提案を出してきていない」と説明している。「会社側から足元の賃上げを巡る提案はなく、将来的に1.5%の賃上げを保証すると表明しただけだ」と批判した。
コロラド州デンバーのスタバで6年間働いてきたチャーリー・ランダルさん(22)は「この昇給率だとインフレに追いつかない」と指摘している。人員不足も不満の1つだ。人手が足りず、早めに閉店をせざるを得ない時が多いという。ランダルさんが働く店舗では以前20人超の従業員がいたが、いまでは10人超に減ったという。
会社側による組合潰しもやめて欲しいとランダルさんは訴えている。「(労組結成で)解雇された従業員の復職や未払いの給料も支払われていない」と述べた。
問題となっているのは、更迭された前最高経営責任者(CEO)のラクスマン・ナラシムハン氏が労組と2月に結んだ労働条件の改善をめぐる合意だ。9月にブライアン・ニコル氏が新しくCEOとして就任してから進捗がないという。
同じタイミングで米アマゾン・ドット・コムのネット通販の配達員らもストを実施している。全米トラック運転手組合(通称チームスターズ)によれば、アマゾンに対するストとしてはこれまでで最大だ。アマゾン側はチームスターズの配達員は自社の従業員ではないとして賃上げ交渉に応じない姿勢だ。
スターバックスの労組は全米約1万店のスターバックス直営店舗のうち500店舗超の従業員を代表している。21年にニューヨーク州の店舗で創業以来初めての労組結成が可決された。
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