会場となるのは、1900年のパリ万博にあわせて建設され、ことしのパリオリンピックでは、フェンシングなどの会場として利用された展示施設「グランパレ」で、これがオリンピック終了後初めてとなる展覧会です。
会場には、「生と死」や将来への不安など、文化やことばの壁を越えた普遍的な価値観をテーマに、塩田さんが国内外で手がけた作品を中心に、およそ120点が展示されています。
このうち「不確かな旅」という作品は、6隻の船のオブジェが赤い毛糸で部屋一面に編み込まれていて、もつれたりほどけたりする糸は、複雑に入り組んだ人間関係や人の心の中を表しています。
また、黒焦げになったピアノとイスの周囲に黒いひもを張り巡らせた作品は、沈黙がテーマで、塩田さんが幼い頃、火事で焼かれ、音が出なくなったピアノを見た経験をもとに制作されました。
作品展を企画した森美術館の片岡真実館長は「世界がこれほど分断し、政治的にも不安定で、今後私たちがどこに行くかわからない状況のなか、この作品展は文化やことばを超えて多くの人に働きかけるだろう」と話していました。
また、塩田さんは「グランパレは自分にとっても身近な場所だったので個展を開催できてうれしい。1人でも多くの人に現代美術のおもしろさを伝えたい」と話していました。
作品展は来年3月19日まで行われます。
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