ウォール街

【NQNニューヨーク=川上純平】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一進一退で、15時現在は前日比86セント安の4万4401ドル07セントで推移している。11月の米消費者物価指数(CPI)の発表を11日に控えて値動きに方向感が出にくくなっている。米連邦準備理事会(FRB)の政策判断に影響する可能性があり、積極的な売買を手控える投資家が多い。

朝方は主力株に売りが先行し、ダウ平均の下げ幅は一時200ドルを上回った。ただ、その後は持ち直し、上昇に転じる場面がある。ダウ平均は前日までの3営業日で600ドルあまり下落していた。CPIの発表を前に売りに傾いた持ち高を中立に近づけるための買いが入りやすい面がある。

ダウ・ジョーンズ通信が集計した11月のCPIの市場予想は前年同月比で2.7%の上昇と、伸び率は10月(2.6%)より大きい。FRBは17〜18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。市場ではFRBが追加利下げを決めるとの見方が優勢だが、CPIがインフレの鈍化を示さなければ「FRBが追加利下げを正当化するのは難しくなる」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との指摘もある。発表後の市場の反応が読みにくく、多くの投資家は様子見姿勢を強めている。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、一部の大型ハイテク株の上昇は投資家心理を下支えしている。テスラはアナリストが目標株価を引き上げたのを受けて一時5%ほど上昇した。量子コンピューターに使う新型の半導体を開発したと発表したアルファベットも大幅高となっている。

ダウ平均の構成銘柄ではボーイングの上昇が目立つ。空運のアラスカ航空グループが今後の収益が拡大するとの見通しを示し、航空需要の強さが意識された。アメリカン・エキスプレスやIBMも高い。半面、メルクやキャタピラー、エヌビディアが下げている。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も一進一退となっている。

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