シリアでは11月27日以降、反政府勢力が攻勢を強めていて、北部の主要都市アレッポの大部分を制圧したあと、中部の交通の要衝ハマの周辺に迫り、政権側は、支援にあたるロシア軍とともに空爆を行うなど激しい攻防が続いてきました。

こうした中、反政府勢力は5日、ハマ市内に進攻し、刑務所を制圧したなどとSNSで主張しました。

一方、軍もハマ市内に反政府勢力が入ったとした上で、「市内の民間人の命を守り、市街戦に巻き込まないようにするため、部隊は市外に再配置した」とする声明を発表し、事実上、ハマ市内から撤退したことを認め反撃の構えを示しました。

ハマは、これまでに反政府勢力が大部分を掌握したアレッポと、首都ダマスカスの間に位置する交通の要衝です。

ロイター通信は、「ハマは内戦が始まって以降、一貫して政府側の支配下にあった地域で、ハマの制圧はアサド政権に激震を走らせ、首都の方面に向けた南進が続くのではないかという懸念が広がるだろう」と分析しています。

シリア人権監視団によりますと先月下旬からの一連の戦闘での死者は、民間人を含めて700人を超えていて、戦闘の拡大が懸念されています。

国連事務総長 シリア隣国のトルコ大統領と会談

国連のグテーレス事務総長は5日、国連本部で記者会見し、シリア情勢について隣国トルコのエルドアン大統領と会談し即時の人道支援の必要性や国連が仲介する政治プロセスへの復帰について話し合ったと明らかにしました。

そして「戦火の及んでいる地域では何万人もの市民が危険にさらされている」として現在起きていることは、各国がこれまで長年にわたりシリアでの緊張緩和に向けた取り組みに失敗してきた結果だと指摘しました。

そのうえで「14年も紛争が続いたいま、すべての当事者が真剣に国連の特使と協議し、安全保障理事会の決議に基づいて、危機を解決するための包括的で新たなアプローチを策定するときだ」と呼びかけました。

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