欧州と米国では景況感に明暗が分かれ、ユーロ売り・ドル買いを加速させた=ロイター

【ニューヨーク=野一色遥花】22日のニューヨーク外国為替市場でユーロ相場は4日続落し、一時1ユーロ=1.033ドル台と、2022年11月下旬以来約2年ぶりの安値を付けた。欧州の景気減速と米欧の金利差の拡大を意識したユーロ売り・ドル買いが広がった。市場関係者の間では1ユーロが1ドルに等しくなる「パリティー(等価)」になる可能性が高まっているとの声も聞かれた。

22日発表の11月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値で総合が48.1と好不況の分かれ目とされる50を割り込み、市場予想も下回った。景気の先行き不透明感から欧州中央銀行(ECB)が12月に0.5%と大幅の利下げを決める可能性が意識された。ドイツ長期金利の低下に、ウクライナ情勢の緊迫が重なりユーロ売りが加速した。

22日の欧州国債市場では指標銘柄であるドイツ連邦債10年物の利回りは2.2%台と、前日と比べて0.07%低下(価格は上昇)した。一時は約1カ月ぶりの低水準をつけた。一方で米国債10年物の利回りは4.42%前後で推移し、独国債との利回り差の拡大を示した。

米金利の高止まりは堅調な米景気が背景にある。朝方発表された11月の米国購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で55.3と前月比1.2ポイント上昇し、2年7カ月ぶりの高水準となった。米経済の底堅さが確認される内容となった。

米連邦準備理事会(FRB)による利下げの見通しは一段と後退している。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウォッチ」では、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きの観測が10月22日時点の約3割から約5割に上昇した。一方、0.25%利下げするとの確率は7割から5割以下にまで低下した。

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