パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで19日、イスラエル軍の空爆があり、87人が死亡、もしくは行方不明、40人以上が負傷したと、ガザ保健省が20日、発表した。軍はイスラム組織ハマスが態勢を立て直すことを妨げるためとして、10月初旬からガザ北部での攻勢を強めている。

 自治政府系のパレスチナ通信によると、空爆で住宅地全体が破壊されているという。ガザ保健省は19日にベイトラヒヤにある「インドネシア病院」が砲撃されて死傷者が出たほか、病棟が停電したとSNSに投稿した。

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 一方、イスラエル軍の報道官は、攻撃について調査中としたうえで、「ガザ側が発表した数字は誇張されている」などとSNSに投稿した。

ネタニヤフ氏、自宅へのドローン攻撃に報復の意向

 イスラエル軍は20日、この1日でガザとレバノンで、武器保管施設など計175カ所の「テロの拠点」を攻撃したと発表した。また19日には、首都ベイルートで少なくとも12回の激しい空爆があったとレバノンメディアが報じた。

 イスラエルのネタニヤフ首相は19日、北部にある自宅付近に同日、レバノンからのドローン(無人機)が攻撃を仕掛けたことについて「私と私の妻を暗殺しようとしたことは重大な過ちだ」と述べたうえで、報復する意向を示す声明を発表した。

 声明で、ネタニヤフ氏は、今回のドローン攻撃は、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラによるものと断定。イランと、ヒズボラなどのイランの代理組織に対して、「イスラエル市民を傷付けようとする試みは非常に重い代償を払うことになるだろう」と警告した。

 英公共放送BBCによると、この攻撃についてヒズボラは公式にコメントしていない。イスラエルメディアによると、ドローン3機のうち2機は防空システムで撃墜されたが、1機が建物に直撃したという。ネタニヤフ氏と妻は、当時自宅にいなかった。(鈴木峻、エルサレム=高久潤)

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