ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナの議会で演説し、新たにまとめた「勝利計画」について「戦争を終わらせるために国家に十分な強さをつけるためのものだ」と述べたうえで、内容を初めて公表しました。
「勝利計画」は5項目にわたり、ウクライナのNATO加盟に向けた正式な手続きが無条件で開始されることが含まれています。
また、欧米側の許可を得て射程の長い兵器でロシア領内を攻撃することや越境攻撃を継続させることなど防衛力の強化や、ロシアに対する抑止力の強化も盛り込まれているとしています。
ゼレンスキー大統領は「計画をすぐに実行に移せば来年までに戦争を終わらせることも可能だ」と述べ、各国の支援を得て計画が実行されれば、来年中に軍事侵攻を終結させられるとしています。
ロシア外務省「ウクライナを不幸にする計画だ」
ゼレンスキー大統領の「勝利計画」について、ロシア外務省のザハロワ報道官は16日「NATO=北大西洋条約機構とロシアを直接衝突させようとしている」と述べ、ウクライナを批判するとともに支援を続ける欧米側をけん制しました。
また「これは勝利のための計画ではなく、ウクライナとウクライナ国民を不幸にする計画だ」と述べました。
行方不明兵士の家族が抗議集会”家族を連れ戻して”
ロシアによる軍事侵攻が長期化するなか、ウクライナの首都キーウでは16日、戦闘に参加したまま行方がわからなくなっているウクライナ軍兵士の家族たちによる抗議集会が開かれました。
キーウ中心部にある独立広場で開かれた集会には兵士の妻や母親、子どもなど数百人が参加しました。
参加者たちは、行方がわからなくなっている兵士の写真を掲げながら「私たちの家族を探し、連れ戻してほしい」などと声をあげていました。
恋人の行方がわからないという22歳の女性は「すべての政府機関などに問い合わせたがまったく反応がない。行方不明者の数は増え続けており行動が必要だ」と話していました。
夫の行方が1年以上わからないという女性はゼレンスキー大統領が支持を訴える「勝利計画」について「何も期待していない」と述べた上で「いま必要なのはロシアを止める武器で行方不明の家族を取り戻すことだ」と訴えていました。
その後、参加者の一部は抗議のためウクライナ政府の建物に向けて行進しましたが、途中で警察に止められ、もみ合いになる場面もありました。
ウクライナ内務省の高官は先月、行方のわからない兵士や市民の数が、5万人以上にのぼると明らかにしています。
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