【NQNニューヨーク=矢内純一】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。前日比337ドル28セント(0.78%)高の4万3077ドル70セントで終え、2日ぶりに最高値を更新した。前日に下げが目立った半導体株の一角が買い直され、投資家心理の支えとなった。市場予想を上回る決算を発表した金融株にも買いが広がった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、モルガン・スタンレーが6.4%高で終えた。朝発表の2024年7〜9月期決算で売上高に相当する純営業収益と1株利益が市場予想を上回った。金融株に買いが波及し、ダウ平均の構成銘柄では、ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースが上昇した。
決算を発表した地銀の一角にも買いが入った。米国のインフレが落ち着く方向にあるなかで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが経済を支えるとの見方は根強い。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているとの観測から、一部の景気敏感株が上昇。中小型株にも物色が広がり、株価指数ラッセル2000は1.6%高で終えた。
前日に悪材料が重なって下げたエヌビディアやマイクロン・テクノロジーといった半導体株が上昇した。オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが15日に四半期決算の発表と同時に示した収益見通しが慎重だったものの、16日に開いた決算説明会では人工知能(AI)関連の需要に楽観的な見方を示した。
市場では「半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表する決算で、需要の強さを改めて示すとの期待から買いが入った」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との指摘があった。
前日に急落したユナイテッドヘルス・グループが上昇し、ダウ平均を押し上げた。アナリストが投資判断を引き上げたシスコシステムズも高かった。半面、インテルが下落した。中国当局系団体が16日、国家の安全保障を脅かすとして審査を申し立てたと発表し、株価の重荷となった。アムジェンやメルクも売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比51.492ポイント(0.28%)高の1万8367.079で終えた。半導体株の一部が上昇したほか、テスラにも買いが入った。半面、アプライドマテリアルズなどの半導体製造装置株には売りが続いた。
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