国内最大規模の航空宇宙産業の展示会「2024国際航空宇宙展」が16日、都内で開幕した。日本政府が防衛予算を増やすなか、市場としての魅力が高まっており海外企業は自衛隊への装備品売り込みを狙い出展した。日本が英国、イタリアと開発を進める次期戦闘機の模型なども公開された。
展示会は19日までで、23カ国・地域から600を超える関連企業・団体が集まった。
英BAEシステムズは実物の10分の1ほどの大きさの次期戦闘機の模型を置いた。企業関係者に加えて欧州やアジア各国の駐在武官も訪れ、次期戦闘機に関する説明を受けていた。
日本から開発に参加する三菱重工業は「戦闘支援無人機」のコンセプトモデルを初めて一般に公開した。次期戦闘機と連携して飛び、敵の戦闘機を迎撃する任務などを担うことを想定する。
次期戦闘機を巡っては19日にイタリアで日英伊防衛相会合を予定する。中谷元防衛相は16日、防衛省で記者団に「協業体制、作業分野分担の検討の進捗状況などに関して率直に議論する」と述べた。
宇宙ごみ(スペースデブリ)の情報収集などの宇宙状況監視(SSA)で航空自衛隊と契約を結ぶIHIエアロスペース(群馬県富岡市)も参加した。民間企業の顧客を開拓し、宇宙ビジネスの拡大を狙う。
16日、城内実経済安全保障相は「近年、SSAなどを通じて宇宙のインフラを守ることが重要になっている」と述べ、同盟国・同志国との宇宙分野での連携を強化する意向を示した。
ロシアのウクライナ侵略では大量の攻撃型無人機が投入された。イスラエルはパレスチナ自治区ガザやレバノンで圧倒的な航空戦力による攻撃を繰り返している。米国、中国、ロシアは宇宙でも技術開発を競っている。航空宇宙分野の軍事・防衛力強化は各国の優先課題となっている。
日本政府は2023〜27年度の5年間の防衛費の総額を43兆円と定め、27年度に国内総生産(GDP)比で2%まで増やす計画を掲げている。以前はGDPの1%を目安としていた。
自衛隊は25年度以降、攻撃力を持つ無人機を導入する。25年度予算案の概算要求に約300セットを取得する費用として30億円を盛り込んだ。
欧州のエアバスは日本の航空会社向けに民間旅客機を販売しているものの、今回の出展では防衛装備品を中心に構成した。開発中の軍用無人ヘリコプター「VSR700」の実物大模型を紹介した。
エアバスはこれまで陸上自衛隊にヘリコプターを納入した実績があるのみだ。米軍との連携を重視する自衛隊は米国製の装備導入を優先してきたためだ。
エアバスの広報担当者は「防衛予算が増えている機会に応じて、幅広く日本の防衛産業に参画できるようにしたい」と意気込みを示す。
米ボーイングは空自のパイロット用練習機として参入を図る「T7」のシミュレーターを展示した。
国内の防衛関連企業の海外進出は遅れている。法的制約から販路が自衛隊に限られていたからだ。23年末の防衛装備移転三原則の運用指針の改定により、完成品に殺傷力があっても部品の輸出などをできるようにした。
直近ではフィリピン政府が開催を支援するマニラでの展示会に防衛装備庁が出展し、三菱電機など日系企業およそ20社が出席した。
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