中国軍は14日、台湾をほぼ取り囲むように設定した海域と空域で、空母や爆撃機なども参加して大規模な軍事演習を行い、「成功裏に終了した」と発表しました。

台湾国防部は「理性のない挑発行為だ」と強く非難していて、演習に参加した中国の軍用機は一日としては過去最多の、のべ125機にのぼったとしています。

中国国防省の報道官は演習の終了後コメントを発表し、中国が「独立派」とみなす台湾の頼清徳政権を批判した上で、「『台湾独立勢力』が挑発するたびに軍の行動は一歩進む」として軍事的な圧力を継続する姿勢を示しています。

中国軍が、台湾をほぼ取り囲むようにして行う軍事演習はおととし以降繰り返されていて、中には7日間にわたったこともありましたが、今回は一日で終了しました。

これについて防衛省防衛研究所の増田雅之中国研究室長は、「空母と爆撃機の連携や主要な港湾都市の封鎖など、複数の訓練で迅速な展開能力を一気に示すことによって台湾の頼政権への圧力を強めるねらいがある。来年以降も同様の演習が継続し、常態化する可能性はある」と分析しています。

防衛省 中国海軍の空母と駆逐艦確認

防衛省によりますと、13日午後、中国海軍の空母「遼寧」とミサイル駆逐艦のあわせて2隻が、台湾の南東、沖縄県与那国島の南およそ460キロの太平洋を航行しているのを確認しました。

周辺海域では14日、「遼寧」に搭載されている戦闘機やヘリコプターの発着も確認されたということです。

中国軍は台湾周辺で行った大規模な軍事演習に「遼寧」も参加したとしていて、この周辺海域で演習に参加したとみられます。

また、防衛省によりますと、中国海軍のミサイル駆逐艦など4隻とロシア海軍の駆逐艦2隻が、11日から14日にかけて小笠原諸島沖から沖縄沖の太平洋を航行したのが確認されたということです。

6隻は先月、日本海を航行したあと宗谷海峡を通過していて、ほぼ日本を1周した形です。

ロシア国防省は14日、太平洋の北西部でロシア海軍と中国海軍が合同で訓練を行い、艦艇合わせて6隻が参加したと発表していて、防衛省が航行の目的を分析するとともに、警戒と監視を続けています。

中国 平潭島「打撃を与えるべきだ」

中国で、台湾本島に最も近い南部・福建省の平潭島は、軍事演習が行われた14日もふだん通り夜市が開かれ、観光客などの間では、軍事演習を当然だとする受け止めが広がっていました。

屋台で働く地元の60代の露天商は「台湾が統一に同意しないなら、打撃を与えるべきだ」と話していました。

また、内陸部・貴州省から来た20代の観光客は「『台湾独立』を騒ぎ立てているので、彼らを震え上がらせてそういった考えを持たないようにさせることはいいことだ」と話していました。

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