キーウで行われた開所式には、日本とウクライナの政府や企業の関係者など、およそ280人が参加しました。

開所式では、石破総理大臣がビデオメッセージを寄せ「事務所の開設は日本のウクライナ復興への強い決意の表れだ。両国の協業を促進し、投資や貿易を拡大したい」と述べました。

出席したウクライナのシュミハリ首相は「『まさかのときの友こそ真の友』だ」と日本語で述べ、日本は信頼できるパートナーだとした上で「民間セクターが復興の原動力だ」と述べ、日本の企業に期待を示しました。

そして、JETROの石黒憲彦理事長らがテープカットを行い、開設を祝っていました。

開設した事務所には4人のスタッフが交代で常駐し、ウクライナの投資環境の調査と情報発信のほか、ウクライナ企業との間のマッチング支援も行うということです。

JETROの石黒理事長は「人の往来ができていないのでビジネス環境の情報が足りていない。まずは現地の情報を正確に伝えたい」と話していました。

また、ウクライナ商工会議所のチジコフ会頭は「戦時中にも関わらずこのような事務所を開設できる国は少ない」と述べ、開設に感謝していました。

ウクライナでは復興を支援しようと各国の企業が参入を始めていますが、安全なビジネス環境の確保が課題となっています。

日本企業の視察団も訪問

今回の開所式にあわせて、ウクライナへの参入を検討している日本企業の視察団も首都キーウを訪れました。

JETROが募集した視察団に加わったのは、建設業や農業などの分野の日本企業10社で、開所式の出席者を前にそれぞれの事業を紹介し、その後、ウクライナの企業と交流していました。

このうち、ウクライナ国内の輸送事業への参入を検討しているという日本の大手物流グループで海外事業を担当する男性は「期待をしていた以上に興味を持ってもらい、パートナーシップを組みたいなどと声をかけられた」と、手応えを語っていました。

また、日本企業の話を聞いた軍事侵攻によるけが人などにリハビリを提供しているウクライナ企業の女性は「リハビリだけでなくすべての分野で日本の技術がウクライナで活用される可能性は大きい」と話していました。

視察団の一行はこのほか、市内のスタートアップ企業の拠点施設を訪問したほか、ウクライナ政府が主催する復興に関する展示会にも参加するということです。

ウクライナ投資庁と覚書も

事務所の開設にあわせてJETROはウクライナの投資庁と投資環境の情報発信などに関する覚書を交わしました。

首都キーウで行われた署名式には、JETROの石黒憲彦理事長や日本からウクライナのビジネス環境の視察に訪れている日本企業10社が参加しました。

署名式に先立ち、ウクライナのシュミハリ首相は「ウクライナの復興はヨーロッパ大陸で最大の事業となるだろう。日本の企業とより多くの協力関係を築きたい」と述べ、日本企業の役割に期待を示しました。

石黒理事長は「ウクライナの復興と経済にこれまで以上に貢献したい。ウクライナ政府からの支援は欠かせないものであり、覚書の締結は大変喜ばしい」と述べました。

そして石黒理事長とウクライナ投資庁のメルニチェンコ長官代行との間で日本からの投資促進に向けた協力に関する覚書が交わされました。

覚書には、2つの組織の間で投資の誘致策に関するノウハウを交換することや、ウクライナの投資環境を日本に情報発信することなどが盛り込まれていて、日本企業の参入を後押ししたい考えです。

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