【NQNニューヨーク=横内理恵】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比57ドル88セント(0.13%)安の4万2454ドル12セントで終えた。同日発表の物価指標が市場予想を上回った一方、雇用指標は想定以上に弱かった。景気敏感株の一角などに利益確定や持ち高調整の売りが出た。米景気の底堅さから株高が続くとの期待感は相場を支え、下げ幅は限定的だった。
9月の米消費者物価指数(CPI)はエネルギーと食品を除くコアが前月比0.3%上昇と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.2%上昇)を超える伸びとなった。前年同月比の上昇率は3.3%と前月(3.2%)を上回った。週間の米新規失業保険申請件数は25万8000件と市場予想(23万件)以上だった。物価指標などが米連邦準備理事会(FRB)の利下げを後押しする内容ではなかったことなどから、「投資家にとっては好ましくない方向の指標だった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との声があった。
ダウ平均と多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前日に最高値を更新しており、高値警戒感や短期的な過熱感が意識されやすい。米長期金利が一時4.12%とおよそ2カ月半ぶりの水準に上昇し、株式の相対的な割高感につながった。中東を巡る地政学リスクへの警戒が強いなか、米原油先物相場が反発したことも嫌気された。
ダウ平均は一時200ドルあまり下げたが、引け間際に下げ幅を縮小した。10日の指標を受けても市場の大方の参加者はFRBが11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%利下げするとの予想を変えなかった。利下げが続き、米経済を支えるとの楽観から売りの勢いが鈍った。
ダウ平均ではボーイングの売りが続いた。ホーム・デポやスリーエム、インテルも安い。半面、ユナイテッドヘルス・グループやアマゾン・ドット・コム、セールスフォースが上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比9.568ポイント(0.05%)安の1万8282.049で終えた。10日に人工知能(AI)向け新製品を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の下げが目立った。エヌビディアは上昇した。
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