トランプ氏は議会占拠事件への関与を巡り起訴されている(2021年1月、ワシントン)=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米首都ワシントンの連邦地裁は2日、2021年に起きた連邦議会占拠事件へのトランプ前大統領の関与を巡る裁判で、検察側が提出した新たな証拠を含む書面を公表した。20年の大統領選で敗北した結果を覆そうとしたとされるトランプ氏の言動の詳細が記されている。11月5日の大統領選で返り咲きを目指すトランプ氏は「選挙干渉だ」と反発している。

連邦最高裁は7月、同裁判を巡ってトランプ氏の大統領在任中の公務に関する行為については免責を認める判断を出した。書面はこの判断を受け、事件を捜査したスミス特別検察官がトランプ氏の罪は免責の対象にならないとの主張をまとめた。

検察側は書面で「被告は起訴された謀略の際に現職大統領ではあったが、彼の計画は根本的に私的なものだった」と指摘。「被告が20年の大統領選で敗北したとき、彼は大統領の職にとどまろうとして犯罪という手段に訴えた」と断じた。

トランプ氏が敗北を理解しながら結果を覆そうとしたことの証拠として、トランプ氏が家族に「選挙で勝ったか負けたかは関係ない。それでも必死で戦わなくてはならない」と語ったとのホワイトハウス職員の証言を引用。この発言は明確に私的なものだと強調した。

トランプ氏は虚偽と知りながら選挙で大規模な不正があったと嘘をつき、非公式の場では「ばかげている」と認めていたとも指摘した。バイデン大統領の当選を正式に認証する議会の手続きを妨害するため「多数の怒った支持者の群衆をたきつけ、あおるために(選挙不正の)嘘を利用した」とし、トランプ氏が議会占拠事件を扇動したと糾弾した。

議会占拠事件の最中に側近からペンス副大統領(当時)を保護する措置が取られたとの報告を受けても、トランプ氏が「だから何だ?」と意に介さなかったとも記した。

トランプ氏はSNSへの投稿で、大統領選の直前に書面を公表すべきではなかったと批判。「民主党は、私が勝っていると分かっているから攻撃するために司法省を武器化している」とし「司法省は(民主党の大統領候補であるハリス副大統領)陣営の延長でしかなくなった」と主張した。

米メディアによると書面の記述の多くはすでに報道などで明らかになっていたものが多く、選挙戦への影響は不透明だ。

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