ことし8月、カンボジア南東部の都市バベットにあるビルの一室で日本人あわせて12人が現地当局に保護されました。

部屋からは複数の携帯電話やリストが見つかり、日本の警察当局が捜査を進めた結果、12人が警察官などをかたって日本国内の被害者にうその電話をかけ、現金をだまし取った疑いがあることが分かったということです。

12人は現地から日本に電話をかける「かけ子」だったとみられるということで、日本の警察が詐欺の疑いで逮捕状を取ったことが捜査関係者への取材で分かりました。

12人の中には現地当局に対し「高収入で簡単な仕事があると誘われた」などと説明している人物もいるということで、警察は「闇バイト」の求人に応募してカンボジアに渡航したとみています。

警察は現地に捜査員を派遣していて、来週にも12人を日本に移送して逮捕する方針で、グループの実態解明を進めることにしています。

海外拠点の特殊詐欺グループの摘発相次ぐ

海外を拠点にした日本人の特殊詐欺グループの摘発は近年、相次いでいます。

警察庁によりますと、海外を拠点にした特殊詐欺グループの摘発で、去年1年間にこれまでで最多の69人が検挙されたということです。

このうち、カンボジアは47人で最も多くなっています。

去年4月には南部のリゾート地のホテルを拠点とする特殊詐欺のグループとみられる日本人19人が逮捕されたほか、去年9月には首都プノンペンのアパートで日本人20人余りが拘束され、その後、特殊詐欺事件に関わっていたとして逮捕されました。

カンボジアをはじめ、東南アジアが日本の特殊詐欺事件の拠点となっている理由として、捜査関係者は、日本と時差が少ないことや現地に日本人も多いため紛れることができること、それに情報通信網が発達していて不自由なく日本に通信できることなどが考えられるとしています。

ことしに入ってからも海外を拠点とする特殊詐欺グループの摘発は相次いでいて、先月までに検挙されたのは20人にのぼるということです。

警察当局は日本の犯罪グループが「闇バイト」に応募した人物などを海外に渡航させて特殊詐欺に関わらせているとみて、海外の捜査機関と連携を図り拠点を摘発するとともに、潜伏する中枢の人物の検挙につなげたいとしています。

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