国連総会の一般討論演説は、24日午前、日本時間の24日夜10時から始まります。

すでに各国の首脳らがニューヨークに続々と到着していて、マンハッタンにある国連本部の周辺では厳重な警備がしかれています。

初日は、退任前としては最後となるアメリカのバイデン大統領や、ことし7月に就任したイランのペゼシュキアン大統領が演説します。

中東レバノンでは、イスラエル軍が23日、イスラム教シーア派組織ヒズボラに大規模な空爆を行って492人が死亡するなど緊張が高まっていて、イスラエルの同盟国アメリカと、ヒズボラの後ろ盾となっているイランの、双方の首脳がどのようなメッセージを打ち出すのかも注目されます。

国連によりますと一般討論演説では、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバス議長がともに26日に演説する予定で、ガザ地区での死者が4万人を超え停戦を求める国際社会の声が高まる中で、双方の首脳が同じ壇上からどのような発言をするのか注目されています。

総会と並行してウクライナ情勢や中東情勢をめぐる安保理の首脳級会合も開かれ、ゼレンスキー大統領をはじめ紛争当事国の首脳らが激しい議論を交わすものとみられます。

一連の演説や会合では、各国の首脳から常任理事国による拒否権の行使で各地の紛争を止められない安保理への批判が集まり、国連改革を求める声が一層高まることが予想されます。

フランス レバノン情勢で国連安保理の緊急会合を要請

イスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対し大規模な空爆を行ったことを受けて、フランスは、今週中にも国連安全保障理事会の緊急会合を開催するよう要請したことを明らかにしました。

これはフランスのバロ外相が23日、国連総会の「未来サミット」での演説で明らかにしたものです。

バロ外相はこのなかで「空爆は直ちに中止されなければならない。フランスは、当事者およびそれを支援する国々に対し、事態の沈静化を改めて呼びかける」と述べました。

そのうえで「市民に壊滅的な打撃を与える地域紛争を回避しなければならない。そのために私は今週、レバノンに関する安保理の緊急会合を要請した」と明らかにしました。

ただ安保理では、24日にウクライナ情勢をめぐる会合が予定されているほか、25日にも首脳級の公開討論が予定されていて、フランス外交筋はNHKの取材に対し「26日に開催できれば理想的だ」としています。

フランスはレバノンの旧宗主国で、政治や経済にいまも影響力を持っているほか、イスラエルとの国境に近いレバノン南部の国連の平和維持活動にも部隊を派遣しています。

専門家「国連の調停システム強化が必要」

シンクタンク「国際危機グループ」で国連を担当するリチャード・ゴーワン氏はNHKとのインタビューで国連の現状について「ガザ地区での戦争によって加盟国が事実上、分断したため非常に厳しい年になった」という認識を示しました。

そして「一部の外交官は、グテーレス事務総長が紛争予防に関するリスクを負うことにやや慎重になりすぎていると感じている」と指摘しました。

その上でゴーワン氏は「今こそ国連の調停システムを強化する必要がある。多くの外交官は、国連事務総長が予防外交により積極的に関わることを望んでいる」と述べ、加盟国が国連と事務総長を支援し、政治的な後押しをする必要があるという考えを示しました。

一方、国連安全保障理事会がウクライナやガザ地区などの問題について、有意義な行動を起こすことができないなか、いずれの問題でも総会がかわりに決議を採択したと指摘し、「加盟国には安保理の機能不全について大きな不満があると思う。安保理が混乱している場合、総会がより活発になるのは当然だ」と述べて、国連総会の役割が大きくなっているという見方を示しました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。