中国外務省は20日、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出をめぐり▼IAEA=国際原子力機関の枠組みの中で中国などが独立したサンプル採取を行う国際モニタリング体制を構築することや▼日本産水産物の輸入を段階的に再開させることなどで、日本側と合意したと発表しました。
中国外務省の報道官は記者会見でモニタリングについては今後、日本側と検査方法など技術面について検討を続けていくとしていて、輸入再開については、中国側の要求が十分に満たされた場合に実施する方針を示しました。
また、「今回の合意は直ちに全面的に輸入を再開することを意味しない」と強調していて、再開の時期は見通せない状況です。
今回の合意について、上海にある日本料理店の日本人のオーナーシェフは「日本の魚を提供できるようになるのはありがたい」と歓迎する一方、「今後も途中で止まるかもしれないという不安は正直ある」として、輸入再開が着実に進むかどうか不安を口にしていました。
日本政府 IAEAと連携しモニタリングを早期に実施へ
処理水の海洋放出をめぐり、20日、岸田総理大臣とIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長が電話で会談し、IAEAの枠組みのもとで行っている処理水のモニタリングを、拡充することで一致しました。
これを踏まえて日中両国は、中国が安全基準に合致した日本産水産物の輸入を再開させることで合意しました。
日本政府内では「双方の主張に隔たりがあった中、合意にこぎつけたのは前進」などと評価する意見が出ていますが、中国側は、追加的なモニタリングの結果を踏まえて段階的に再開するとしていて、具体的な再開時期の見通しは立っていません。
このため日本政府は、IAEAと連携して追加的なモニタリングを早期に実施できるよう準備を急ぐとともに、引き続き中国側に輸入停止措置の撤廃を求めていくことにしています。
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