中東のレバノンでは17日から2日連続で通信機器が一斉に爆発し、あわせて37人が死亡、およそ3000人がけがをしました。

レバノンを拠点とするヒズボラは、イスラエルによる犯行だとして、最高指導者は報復を行う考えを強調しています。

こうした中、イスラエル軍は20日、レバノンの首都ベイルートの郊外に空爆を行い、ヒズボラの幹部の司令官を殺害したと発表しました。

空爆があったのは住宅街で、レバノンの保健省はこれまでに12人が死亡し、66人がけがをしたと発表していて、地元のメディアは、死者に子どもも含まれていると伝えています。

一方、ヒズボラも20日、イスラエルに攻撃を繰り返していて、イスラエルメディアはレバノンから150発のロケット弾が飛来し、建物などに被害が出ていると伝えています。

通信機器の連続爆発でヒズボラがイスラエルに報復する構えを示し、イスラエル側もヒズボラをけん制する発言を繰り返していて、攻撃の応酬の激化で紛争が拡大することへの懸念が広がっています。

バイデン大統領 停戦協議で合意への働きかけ続ける

イスラエル軍の空爆に関連して、アメリカのバイデン大統領は20日、イスラエルとイスラム組織ハマスによる停戦協議で合意を目指すことは、この状況でも現実的なのかと記者団から問われたのに対し「多くのことは、やり遂げるまでは現実的には思えないものだ。私たちは取り組み続けなければならない」と答え、合意に向けた働きかけを続ける考えを強調しました。

これに先立ちホワイトハウスのカービー大統領補佐官は、ベイルートへの空爆についてイスラエル側から事前通告はあったのかと質問されたのに対し「事前通告について承知していない」と述べました。

その上で「外交が機能する余地はまだあると考えていて、これからも努力を続けるつもりだ。われわれは状況がエスカレートすることを望んでいない」と述べ、イスラエルとヒズボラの双方に自制を求めました。

“ミカティ首相 日本などの大使に協力要請” レバノン国営通信

レバノンの国営通信は多数の人が死傷した、通信機器を使った爆発事件をめぐり、ミカティ首相が20日、通信機器の製造元として伝えられた日本とハンガリーの大使とそれぞれ会談し、事件への捜査に技術的な協力を行うよう求めたと伝えました。

ロイター通信などは17日の爆発に使われた「ポケットベル」タイプの通信機器について台湾やハンガリーで製造された可能性を報じたほか、18日の爆発で使われたトランシーバーについては大阪市に本社がある通信機器メーカーが製造した可能性を伝えていました。

これについてレバノンの日本大使館はNHKの取材に対し、「20日午前、大使が首相と会ったことは事実だが、詳細を明らかにすることはできない」としています。

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