SECの本部ビル(ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米証券取引委員会(SEC)は18日、米上場株の刻み幅「呼び値」を縮小する規則を採択した。取引の活発な銘柄は現状の1セント(0.01ドル)刻みから0.5セント刻みへと細かくする。流動性のさらなる改善を狙う。

ゲンスラー委員長を含む5人の委員の全会一致で可決した。2025年11月から発効する。ゲンスラー委員長は「株価形成がより効率的かつ競争的になされ、投資家や市場参加者に利益をもたらす」と述べた。

ニューヨーク証券取引所やナスダックなど証券取引所で、売り買いの気配値の差が3カ月間平均して1.5セント以下の銘柄の呼び値を0.5セント刻みとする。気配値の差が大きい銘柄の呼び値は引き続き1セントとする。

現行の1セント刻みが制約となり、円滑な株価形成の妨げとなるケースは少なくない。SECが集計した23年の取引データによると、上場株の売買高の約74%で気配値の差が1セントの呼び値にはりついていた。

証取と、呼び値縮小で先行していた取引所外売買との競争環境を整える狙いもある。証券会社などが運営する代替取引システム(ATS)は証取よりも規制が緩めで、1セント未満の呼び値で取引ができるのも特徴の1つだった。

SECは呼び値縮小以外に、証取が配信する気配情報へのアクセス料上限の引き下げなども規則に盛った。今回の規則は22年12月に提案した包括的な株式取引ルールの改革案の一部だ。

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