イスラエルの隣国レバノンの各地で17日午後、メッセージを受信できる「ポケットベル」タイプの通信機器が相次いで爆発しました。

レバノン保健省によりますと一連の爆発で8歳の女の子を含む9人が死亡し、およそ2750人がけがをしたということで、ヒズボラは関係者2人が死亡したと発表しました。

また、イランの国営テレビは、一連の爆発でレバノンに駐在するイラン大使も軽いけがをしたと伝えました。

一連の爆発についてヒズボラは声明で、イスラエルによる犯行だとした上で「罪を犯した敵は正当な報いを受けるだろう」として、報復を示唆しました。

ロイター通信は「爆発した通信機器はヒズボラがここ数か月で導入した最新のものだった」と伝えているほか、AP通信は、ヒズボラの最高指導者ナスララ師が、イスラエルへの警戒からメンバーに携帯電話を持ち歩かないよう指示していたと伝えています。

イスラエル側は、公式な反応を出していませんが、ネタニヤフ政権は17日、ヒズボラへの対応を軍事作戦の新たな目標に加えることを閣議決定し「イスラエル北部の住民を安全に帰還させることを戦争の目標に盛り込んだ。目標達成のため行動を続ける」と発表していました。

ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルとハマスとの連帯を掲げるヒズボラとの間では攻撃の応酬が続いていて、事態のさらなるエスカレートが懸念されています。

爆発の瞬間とされる映像では

ロイター通信は、レバノンの首都ベイルートにあるスーパーマーケットで、17日、防犯カメラがとらえた爆発の瞬間とされる映像を配信しました。

映像では、陳列された食品のまわりに数人がいたところ、「バン」という大きな音が響いたあと、このうちの1人のバッグのあたりから物が散乱し、その人が倒れ込んでいます。

近くにいた人は逃げ出したり、身をかがめたりしていて、叫び声も聞こえ、混乱した様子がうかがえます。

イラン アラグチ外相“イスラエルのテロ行為だ”

イランの国営テレビは、一連の爆発でレバノンに駐在するイラン大使も軽いけがをしたと伝えました。

これを受けてイラン外務省は17日、声明を出し、アラグチ外相がレバノンのハビブ外相と電話で会談したと発表しました。

それによりますと、アラグチ外相は被害者に哀悼の意を示すとともに、イラン大使のけがの治療に礼を述べたということです。

その上で今回の爆発について「レバノンの市民を狙ったイスラエルのテロ行為だ」と強い言葉で非難したということです。

米 国務省ミラー報道官「事前に把握もしていない」

レバノン各地での爆発について、アメリカ国務省のミラー報道官は17日、記者会見で、「アメリカは関与しておらず、事前に把握もしていない。情報を集めているところだ」と述べました。

また、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く交渉への影響について、ミラー報道官は、「ここ数時間に起きた出来事なので、影響について述べるのは時期尚早だ」と述べるにとどめました。

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