日立は米国で受注件数を増やしている(ペンシルベニア交通局に納入する車両イメージ)

日立製作所は26日、米ペンシルベニア州の「南東ペンシルベニア交通局」から都市鉄道向けの車両を受注したと発表した。200両の納入契約で、受注金額は7億2430万ドル(約1100億円)。同州に隣接するメリーランド州の自社工場で車両を製造する。2029年に納入を始めて、31年末までに完了するという。

同交通局はフィラデルフィア市中心の都市鉄道を運営する。1990年代に導入した現行車両の老朽化を受けて車両更新を決めた。今回の契約は200両の受注で、同交通局側は40両を追加発注する権利があるという。

米国では21年にワシントン首都圏交通局から最大800両を22億ドルで受注した実績がある。今回のペンシルベニアの受注案件は米国ではワシントン案件に次ぐ規模となる。

日立はワシントンでの大型受注を受けてメリーランド州に鉄道車両工場を建設することを決めて工場稼働に向けた準備を進めている。同工場での追加の製造案件を獲得し、長期で工場稼働率を維持していく。

今回の受注では車両更新に合わせて輸送能力を高め、車両内の機器状況などを遠隔監視する機能を追加する。詳細な仕様は今後、交通局と詰める。ブレーキ時に生じるエネルギーから電気を回収する回生ブレーキなども備える見通しだ。

日立は5月に仏電子機器大手タレスの鉄道信号事業を買収し、鉄道車両と運行システムの両輪で鉄道ビジネスを拡大する戦略を進める。IT(情報技術)を用いた都市交通の最適化にも取り組んでおり、潜在需要の大きい北米での受注活動に注力する。

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