【ニューヨーク=秋田咲】24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比4ドル(0.01%)高の3万9069ドルで終えた。週間では934ドル(2.3%)下落し、1週間の下げ幅としては今年最大だった。米経済の堅調さを裏付ける経済統計が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退。ダウは一時4万ドルを付けるなど直近の上昇ピッチが早かったこともあり、利益確定の動きも優勢になった。

S&Pグローバルが23日発表した5月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は市場予想を上回った。24日発表の4月の米耐久財受注額なども堅調で、FRBが早期の利下げに動く可能性は低いとの見方が広がった。米ゴールドマン・サックスは24日、利下げ時期の予想を7月から9月に後ろ倒した。

FRB高官が早期の利下げ転換に慎重な姿勢を示したことも投資家心理の悪化を招いた。22日公表された4月30日〜5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨にはFRBが追加利上げも辞さない文言が盛り込まれ、長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時4.50%と、前週末比0.08%上昇した。

高金利が続くと財務基盤が弱い中小企業の経営は厳しくなるとの見方から、中小型株が中心のラッセル2000は週間で1.4%下げた。S&P500種の業種別では金利上昇が業績の逆風となる不動産が3.7%安となり、下落率で上位に入った。

ダウ平均採用の個別銘柄ではボーイングやマクドナルドなどが大きく下げた。ボーイングでは資金繰りの悪化が伝わり株価が急落した。マクドナルドは価格を半値に下げたセットを打ち出し、値下げ競争が過熱するとの見方から投資家の警戒を招いた。

一方、ダウ平均の構成銘柄ではないものの、好決算を発表したエヌビディアは週間で15.1%上昇した。同社株がけん引し、S&P500種株価指数は週間で0.03%高、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は1.4%高となり、最高値を更新した。

23日にはダウ平均が前日比605ドル安と、1日の取引として23年2月以来の下げ幅を記録したものの、株式市場が調整局面に入ったとの見方は限定的だ。米調査会社CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏と「3連休を控えた利益確定の動き」と指摘する。

投資家の不安心理を映す変動性指数(VIX)は12.7と低水準で、相場の急変動に備える動きも限られている。ストーバル氏は「市場は好調に推移している。まだ弱気相場や深い調整の始まりではない」と話す。

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