米国防総省は24日、オースティン国防長官が訪問先のシンガポールで、中国の董軍国防相と会談すると明らかにした。米中国防相による直接会談は2022年11月以来で、約1年6カ月ぶりとなる。中国は23日から台湾周辺で軍事演習を行っており、緊張が高まるなかでの米中の直接会談となる。

 国防総省によると、オースティン氏は31日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)に出席する。董氏のほか、日韓の防衛相らと会談する予定だ。

 中国軍が「台湾独立を目指す勢力への懲罰」として始めた台湾周辺での軍事演習に対し、米国は「長年にわたり地域の平和と安定を維持してきた規範を損なう」と批判している。オースティン氏は董氏との会談で、中国側に改めて自制を求めるとみられる。南シナ海で中国によるフィリピン船への妨害行為が相次いでいる問題も議題となる見通しだ。

 同省によると、オースティン氏はカンボジアも訪問し、政府高官と会談する。カンボジアは中国との関係が深く、米側には地域で影響力を増す中国に対抗するため、くさびを打つ狙いがありそうだ。

 同省は声明で、「米国が平和や安定、抑止の共通のビジョンを支持し、同盟国や友好国と関係を強化しているなかでのインド太平洋訪問となる」と述べた。

 オースティン氏はその後、フランスを訪問。ノルマンディー上陸作戦から80年を記念する式典に出席するという。(清宮涼)

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