WHO加盟国はパンデミック条約案で合意できなかった(写真はWHOのテドロス事務局長)=ロイター

【パリ=北松円香】世界保健機関(WHO)加盟国は24日、感染症対策を強化する「パンデミック条約」の条文案で合意できないまま交渉を終えた。当初想定していた27日からのWHO総会での条約採択はできない。総会では今後の協議継続について議論する予定だ。

WHOのテドロス事務局長はこの日、スイス・ジュネーブのWHO本部に集まった加盟国代表の前で各国や交渉事務局の努力をねぎらい、「これは失敗ではない。我々は進展している」と強調した。

実際には2年以上にわたる交渉結果は当初想定からほど遠い状況だ。今年3月下旬を合意期限としていたが不調に終わり、4月下旬からの延長交渉も実らなかった。今月下旬から交渉を再開したが加盟国の意見はまとまらず、結局総会での採択は見送る。

WHO加盟国は新型コロナウイルス禍への対応が遅れた反省から、2021年12月に新たな感染症対応の枠組みとして同条約の協議入りを決めた。条約の草案は病原体情報の共有、製薬企業から新興国への技術移転やWHOへの医薬品供給などを含む。

新興国が技術移転やワクチンの配分はパンデミック対策に不可欠だと主張する一方、製薬企業の収益を確保して研究開発を促したい先進国は反対。南北の対立が深まっていた。

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