【シリコンバレー=清水孝輔】米インテルは9日、データセンター向け人工知能(AI)半導体の新製品「ガウディ3」を数カ月以内に投入すると発表した。生成AIを処理する速度やエネルギー効率を高めた。処理性能が米エヌビディアの主力品の1.5倍だと主張しており、最先端のAI半導体で市場をほぼ独占する同社に挑む。
数カ月以内に米デル・テクノロジーズなどサーバー大手に対してガウディ3の提供を始める。米メタの大規模言語モデル(LLM)「Llama(ラマ)2」で比較した場合、エヌビディアの主力AI半導体「H100」に比べてデータ学習速度が平均で1.5倍速いという。
インテルは9日に米アリゾナ州フェニックスで開催中の技術イベントでガウディ3を披露した。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は基調講演で新製品について「ベンチマークでH100よりも優れている」とエヌビディアへの対抗心を示した。
英オムディアによると、AI半導体の市場は2022年にエヌビディアのシェアが8割を占めていた。データの学習など処理に欠かせない同社の半導体は急速な需要拡大で入手が難しい状況が続いてきた。インテルは代替品の提供でシェア獲得を狙う。
エヌビディアは3月、先端の画像処理半導体(GPU)「H200」の出荷を始めた。H100に比べて生成AIが回答を導く処理速度が最大45%高い。年内にはH200よりもさらに高性能な次世代AI半導体「B200」を投入する。先端品の相次ぐ投入で競合を引き離す戦略だ。
エヌビディアは1年間で株価が3倍超に膨らみ、時価総額は世界3位に浮上した。一方でインテルは同じ期間での株価の伸び率が20%に満たない。エヌビディアは通期の売上高でもインテルを上回っており、AI需要の高まりで半導体業界の勢力図が変化している。
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