人物の特徴や物体を文章で入力すると、カメラと連動したAIが映っている比率を表示する(18日、東京都千代田区)

人工知能(AI)スタートアップのIdein(イデイン、東京・千代田)は18日、映像に映る人物や物体を割合にして表示するアプリを発表した。データ学習が不要で、導入コストを抑えられる。現場管理をデジタル化する大手企業の需要を見込む。

同日開いた発表会で新たなアプリを公開した。データを端末側で処理するエッジAIとの連携に特化した同社の分析システム「Actcast(アクトキャスト)」上で利用できる。

分類したい人物の特徴や物体名を文章で入力すると、カメラと連動したAIが項目ごとに映っている比率を表示する。「ヘルメットを着けている作業者」や「広告を見ている客」といった指定が可能で、現場の安全管理や消費者行動の分析などに使える。

米オープンAIの画像分類モデル「CLIP(クリップ)」を活用して解析する。入力した文章の内容が映像内の情報とどれだけ類似しているかを測る。処理性能の低い端末上でAIを効率よく動かすイデインのソフト設計技術を組み合わせ、クラウドを介さず高度な映像分析ができるようにした。

この仕組みを使えば、大量の画像をAIに学習させる開発やクラウドを使う際の安全管理のための開発が省ける。イデインの中村晃一最高経営責任者(CEO)は「小売店の商品分析や現場の管理であれば、(新規開発するよりも)3000万〜4000万円程度の開発費用を削減できる」と話す。

イデインは2015年設立のスタートアップだ。エッジAIとカメラやマイクを組み合わせたシステムが主力で、清水建設やファミリマートが導入している。発表会では映像で陳列状況を分析するツールや顧客との対話内容を録音して分析するシステムも紹介した。

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