東九州新幹線の整備を目指す宮崎県は、宮崎―博多間を結ぶ3つのルート案について、所要時間や整備費用などの試算を明らかにした。所要時間が最短だったのは、宮崎市と九州新幹線新八代駅(熊本県八代市)を結び、同新幹線に接続する「新八代ルート」の1時間24分だった。整備費は約1兆600億円〜約3兆8100億円となった。

時間短縮など利用者らが受ける利益を事業費で割って算出した費用対効果は、いずれも利益が費用を上回るとされる「1.0」以上とした。27日の県議会一般質問で説明した。

試算対象は(1)山陽新幹線小倉駅(北九州市)からJR日豊線に沿って大分、宮崎両市を通り、九州新幹線鹿児島中央駅まで結ぶ「日豊本線ルート」(2)九州新幹線新八代駅で分岐する「新八代ルート」(3)宮崎市から鹿児島中央駅に限定して先行着手するルート。調査は県が民間業者に委託して行った。

試算では、日豊本線ルートは所要時間が1時間38分で、整備費は3兆8100億円(宮崎―鹿児島中央間を含む)だった。新八代ルートは1時間24分で1兆5000億円、鹿児島先行ルートは2時間12分で1兆600億円となった。費用対効果では1.2と1.0になるという。

河野俊嗣知事は「新八代ルートは九州各都市をきめ細かく結ぶ新幹線ネットワークの形成につながり、九州全体に大きなメリットをもたらす」と指摘。そのうえで「開業までに長期間を要することや多額の財政負担などの課題もある。まずは県民の新幹線への関心を高めることが重要と考えている」として、議論の喚起につなげたい考えを示した。県は25年1月に調査結果を踏まえたシンポジウムを開く。

国は1973(昭和48)年に福岡市から鹿児島市までを九州東部の大分、宮崎両市付近を経由して結ぶ「東九州新幹線」を基本計画路線として位置付けている。しかし、より具体的なルートが示される整備計画は策定されておらず、大きな進展がないままになっている。

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