総務省の有識者会議はNTT法の見直しを巡り報告書をまとめた。NTT法の存廃を巡っては維持と廃止の両論を併記した。政府によるNTT株の保有義務は維持が適当だとの考えを示した。
報告書ではNTT法の存廃について「NTT法に規定する案」と「電気通信事業法に規定し、NTT法を廃止する案」の両論を示した。総務省で「必要な規律を適切かつ確実に担保できる形式を検討することが適当」として判断を委ねた。
NTT法が課すNTT株の政府による保有義務や外資規制も維持が適当だとした。現行法では政府に3分の1以上のNTT株の保有を義務付け、外国人株主による保有割合も3分の1未満に制限する。
政府が保有するNTT株を巡っては、防衛費増額の財源として売却する議論があった。報告書では政府が安定株主となり、国内の通信インフラで公共的な役割を担うNTTの安定した事業運営を確保することが重要だとした。
NTT東日本、西日本が電柱などを譲渡・処分する場合の認可制の導入にも言及した。旧電電公社から引き継ぐ通信インフラを、他の事業者が構築するのは事実上不可能として「サービスの安定的な提供を確保する上での意義は極めて大きい」と判断した。
一方、NTTに義務付けている固定電話サービスの全国一律での提供義務は緩和する。他にサービスを提供する事業者がいない場合に限ってNTTに提供を義務付ける「最終保障提供責務」に見直す。
赤字が続くNTTの固定電話事業は一部を交付金で補う。他の事業者も担い手となって効率的にサービスを提供し負担減につなげる。
NTT法の存廃議論を巡っては自民党が2023年末の提言で廃止を求めており、4月成立の改正NTT法でも付則で「廃止を含め検討」と明記された。今後、総務省が25年の通常国会への関連法案の提出に向けて調整を進める。
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