世界で9000人の人員削減を発表した日産の内田誠社長=7日、同社のオンライン会見から

 日産自動車(本社・横浜市西区)が苦境にあえいでいる。経営が振るわず、従業員の1割弱に当たる9000人規模の人員削減に踏み切らざるを得なくなった。低迷した株価に目を付けた物言う株主(アクティビスト)も触手を伸ばす。特別背任事件で、カリスマ経営者だったカルロス・ゴーン元会長が「退場」して約6年。日産はなぜここまで苦しんでいるのか。(中川紘希、太田理英子)

◆2024年9月中間決算で純利益93.5%減の衝撃

 「厳しい状況を迎えていることは痛恨の極み。世界13万人以上の従業員と家族の生活を預かる身として責任を感じる」。日産の内田誠社長は7日のオンライン会見でこう述べた。  この日公表した2024年9月中間連結決算は、純利益が前年同期比93.5%減の192億円と大幅減。特に主力の北米の営業利益は、2414億円からマイナス41億円へと赤字に転落。米国で車が売れず、値引きのための費用がかさんだことが収益を圧迫した。電気自動車(EV)を重視し、米国で売れ筋のハイブリッド車(HV)を投入できておらず、内田社長は「顧客ニーズに応える商品をタイムリーに提供できていないことも課題」と認めた。

◆コロナ禍で他社は商品力を磨いていたのに

 ただ、東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは「どの国でも売れる車を出せていない。簡単に言うと(企業努力を)サボっていたということだ」と辛口だ。

日産自動車グローバル本社

 コロナ禍では、半導体不足が深刻化。車の供給量が減り、どの会社も高く売ることができた。ただトヨタ自動車やSUBARU(スバル)はこの時期に、新車投入やモデルチェンジで顧客が求める車を追求していたが、日産は消極的だったという。杉浦氏は「競争力がある車を生み出せず、現在在庫が余り、安売りしている。この状況は外部のアナリストですら予想できた。内部の経営陣の状況の認識が甘すぎた」と話す。

◆9000人削減の一方…社長は半額返上しても報酬3億円以上?

 日産は立て直しに向け、世界の全従業員の約7%に当たる9000人を削減し、生産能力を2割縮小する方針を発表。昨年度6億5700万円の役員報酬を得ていた内田社長は今月から報酬を半額返上するという。  日産で働く人は何を思うのか。日産労組の幹部は...

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